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私がまだ学生だった頃、近所の池に三匹の猿が住んでいました。いつも学校の行き帰りに彼らを観察しては、大きなため息をついていました。というのは、その頃私は恋をしていてその恋の行方に不安を覚えていたからです。猿たちは無邪気そのものでした。ところが、その無邪気さの中に時折さっと雨雲のような不吉な影が横切ることがあって、それに私はじっと目を光らせていたのです。猿占い、たしかそう呼んでいたはずです。そして、今私は結婚をして何不自由のない生活を送っています。もちろんあの頃の恋は成就することはありませんでした。ただ猿たちに申しわけない気持ちでいっぱいなのです。おそらく彼らの無邪気さは彼らのもので、私がそこに不吉なものを読み取るべきではなかったのです。次の日曜日に、私は夫の運転する車であの池に行く予定です。目を閉じると、水草の間で楽しそうに遊び回る彼らの姿がありありと目に浮かんできます。